「翻訳できないことば」との出会いから、言葉が人の心に灯る循環を生み出したい

kotoha
「翻訳できないことば」との出会いから、言葉が人の心に灯る循環を生み出したい
-
kotoha 共同代表 友成隼也


未来をつくる実験区100BANCHが、毎年夏に開催する一大イベント「ナナナナ祭 」。2026年7月に開催したナナナナ祭2026でも、多種多様なプロジェクトが渋谷の街を舞台に数々の実験を展開しました。
その熱気と興奮の記憶も新しい2026年8月8日、100BANCHにて「ナナナナ祭 振り返りイベント」を開催しました。本記事では、ナナナナ祭に出展したプロジェクトのメンバーが登壇し、祭りを経ての成果や気づきを振り返るプロジェクトピッチの様子をレポートします。
来場者との対話や、思い通りにいかなかった試行錯誤を経て、彼らはどんな未来の種を見つけたのでしょうか。熱気あふれるピッチの様子と、彼らのこれからのネクストアクションをお届けします。
index
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-kotoha

登壇者:友成隼也
「kotoha」は、世界中の「翻訳できないことば」を記録・共有するオンラインデータベースの構築や、企画展、商品の制作などを通じて、言語の多様性と日常の感情をつなぐプロジェクトです。
友成:ナナナナ祭では大きく5つの企画に取り組みました。まずは、日本の「翻訳できない言葉」のガチャガチャです。今年の5月にベルリンとパリで展示した言葉のステッカーを、ガチャガチャを使って展開したところ、小さな子どもたちもすごく楽しんでくれました。
そして今回のメイン企画となったのが「ことば生成機」の開発です。自分の今の感情を入力してOKを押すと、それにぴったりの「あなただけの世界の言葉」が生成されるという仕組みをつくりました。他にも、過去1年間で10回ほどやってきた展示の詰め合わせとなる実物展示や、海外展示の際につくったポストカードやステッカーなどのグッズ販売、そしてイベントを通じた新メンバーの募集活動を行いました。
今回のナナナナ祭で一番検証したかったのは「デジタルとの融合」です。これまではずっとアナログなオフライン展示での言葉の接点を大事にしてきましたが、日常生活のその先に自然とkotohaが存在する状態をつくるため、あえて視点を変えてデジタルの「ことば生成機」に挑戦しました。実際に体験していただいた来場者の方からは、「MBTI診断みたいで面白い」「毎朝起きたときに今日の言葉が出る機能が欲しい」「まわりの仲間と複数人でも楽しめる」といったうれしいコメントをたくさんいただきました。この反響を通じて、将来的には日めくりカレンダーや手帳、あるいはアプリといった形でのサービス展開が十分に可能だという手応えを強く感じることができました。
このナナナナ祭での実験を経て、これまでのアナログにデジタル要素を掛け合わせ、日常の様々な接点にkotohaがある社会をつくっていくんだという指針と覚悟ができました。具体的なこれからの動きとして、実は令和8年8月8日に一般社団法人となり、再スタートを切りました。ちょうどナナナナ祭期間中からはじめていたメンバー募集には、なんと100名以上の応募があり、説明会にも170名ほど来ていただきました。

「これからは、新しい仲間たちと一緒に活動の幅を広げていきます。すでに本の出版と、1月に渋谷キャストでの展示を開催することが決まっているので、今はチーム総出でそこに向けて全力で頑張りながら、様々なコラボレーションを生み出していきたいと思っています。」と友成は話しました。
「翻訳できないことば」との出会いから、言葉が人の心に灯る循環を生み出したい
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/kotoha
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-next-serendipityxnovel-colony

登壇者:佐々木竜太郎
「Novel Colony」は、参加者が共同で物語を創作するリレー小説形式と公開オーディションのような選抜システムを組み合わせ、さまざまな人が同時に楽しめる物語を創作する方法を確立することを目指すプロジェクトです。
佐々木:僕たちは「マイミージーン!」という企画で出展しました。当初の考えとしては、自分が話したいことを入力すると、それに沿った自分にぴったりのコンテンツが表示され、それを雑誌の形で受け取れるという体験をナナナナ祭でつくりたい、と思っていました。自動販売機のような筐体を置き、そこに入力すると下から雑誌が出てくる、というものを考えていました。

佐々木:今回、この雑誌をつくるにあたって、同じく100BANCHのプロジェクトである「Next Serendipity」の高松くんや、雑誌をデザインしている方たちとコラボレーションしてやっていきたいと考えて企画しました。
実際にできあがった雑誌は、入力した内容によって、デザインの色や形、100BANCHの紹介記事、4コマ漫画の中身などが人によって変わる仕組みになっています。さらにインタビュー記事も、自分が話したい内容に一番近いことを話しているゲストのインタビューが選ばれて出力されるようになっています。実際に筐体もつくり、打ち込むとそこに出力結果が反映され、最終的に雑誌の形になったものを手に取って読める、という体験をナナナナ祭で実現しました。
今回のプロジェクトは、システムを担当してくれたNext Serendipityや、レイアウトをつくってくれたデザイナーの方々、インタビューのゲストの方々など、普段はなかなか一緒にやらないような人たちとコラボレーションしてものをつくることができたのが大きな成果です。

佐々木:僕としては元々「対話する小説」に取り組んでいたので、今回は「雑誌を通じた対話」を検証してみました。実際にやってみたところ、参加者がカスタマイズされた雑誌と対話しているという感覚を持ってくれたり、他の人がどんな雑誌を出したか知りたいと読者同士で対話しようとする気持ちが生まれたりしました。また、自分と近い内容を話しているインタビュー記事が出ることで、そのゲストとの対話の感覚も生まれました。結果として、さまざまな形で対話の感覚を生むような雑誌をつくることができたんじゃないかなと思っています。

「今後もいろんな地域で実施することや、ネットにオンラインで公開することなども考えているので、1つずつやっていけたらいいかなと思っています。」と佐々木は話しました。
リレー×オーディションで、立場を超えた「物語」の共創と熱狂を生み出す!
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-tom-japan

登壇者:北島未菜
「TOM JAPAN」は、支援機器を共創し、誰もが快適に過ごせる世界の実現を目指すプロジェクトです。
北島:私たちがナナナナ祭で出展したのは「一緒に創るミライのタネ」という企画です。障害を「解決すべき問題」としてではなく、新しい価値を生み出す「イノベーションの起点」として捉え直せる場をつくれないかと考え、展示や体験を行いました。

北島:この背景には、普段から「TOM JAPANって何をやっているの?」ということが周囲に伝わりにくいという課題がありました。そこで、私たちがやっている活動や大切にしている価値観を、3分間でいかに伝えられるかということを中心に検証しました。
ナナナナ祭の会場でおこなったことは大きく4つあります。1つ目は「見つける」という体験です。弱視の方の世界をスマホを通して来場者に体験してもらい、「こんな見え方をするんだ」「全然知らなかった」といった多くの声を聞くことができました。2つ目は「書き出す」ことです。体験して得た気づきを付箋に書き出してもらい、ミライのタネとして皆さんと共有しました。3つ目は「手に取る」ということで、これまでつくってきたプロダクトの展示に加え、ナナナナ祭に向けて7人のNeed-Knower の方にインタビューを行ったZINEを制作・展示しました。入稿がギリギリでとても切羽詰まりましたが、しっかりと形にしてNeed-Knower 当事者の方々にも届けることができ、「こんな形でまとめられるんだ」「これがプロダクトの起点になるね」といったうれしい反響をいただきました。そして4つ目として、活動の応援ステッカーの販売も行いました。
これからのネクストアクションとして、私たちが主軸としているワークショップ、プロダクト開発、そしてNeed-Knowerの社会参画支援をさらに進めていきます。例えば、ソニーのMESHやパナソニックのランタンなどのテクノロジーを掛け合わせてワークショップを拡張する試みや、8月末に控えている誰もが楽しめる体育祭などのイベントを頑張っていきたいです。

「今回のZINEは7人分のインタビューによるものでしたが、今年度中に残り70人分のインタビューを完成させることを目標に、Need-KnowerのZINEの制作もしっかりと続けていきたいと思っています。」と北島は話しました。
障害のある当事者(Need-Knower)の「1の困りごと」から、誰もが快適に過ごせる社会を共創
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-jisui

登壇者:前田洋佑
「Jisui」は、自炊の動機づけを目的に、慣れ親しんだ「ノベル」と最新の「クラウド技術」を掛け合わせた新しい体験を提供することを目指すプロジェクトです。
前田:僕たちがナナナナ祭で出展した企画のタイトルは、「思い出のたべのこしすくいませんか?」です。これは言葉遊びになっていて、「食べ残し」には物理的なご飯だけでなく、誰かに知ってほしかった思い出や救われたい未練という意味を込め、それをスプーンで「掬う」ことと救済の「救う」をかけています。

前田:僕たちのプロジェクトで検証してきた結論は、自炊の腰を上げるためには、「使命」と「知識」を持った上で「約束」し続けることが必要だということです。今回のナナナナ祭でも、その法則に合わせた形でコンテンツを配置しました。
自炊への使命感を生み出すためには、「救うべき他者」の存在が効果的です。例えば、小さなお子さんがいれば「生きて食べさせるためにつくらなきゃ」と親は使命感を持ちますが、こどもが独立して自分だけになると「買い弁でいいか」となってしまいがちです。そこで、時空を超えて「救わなきゃ」と思わせるような他者をたくさん連れてくれば、使命感が底上げされるのではないかと考えました。会場では、時代に50年の幅を持たせ、様々な都道府県から「自炊がなければ生まれなかった家庭のドラマや運命」といった救われたい実話を集めて散りばめました。デジタルゲーム版では、そういった運命を主体的に選び直したり跳ね返したりする中で、必ず調理の「知識」を得られるような体験を設計しています。

前田:そして最後の「約束」についてです。ゲーム版では最後に「はい」しか押せない約束のボタンを用意しているのですが、今回はリアルな展示だったので、虹色の長い長いスプーンを僕とお互いに握り合って指切りをするという、少し圧の強い体験を通して、僕と直接自炊の約束をしてもらいました。

「こうして自炊に対する仮説を検証してきたリアルな『ジスイ展』ですが、今後は他の府県でも展開していきたいと思っています。また、デジタルのノベルゲーム版が序盤で止まってしまっているので、そちらの制作も早く進めていきたいです。すでに一部の方には物語の続きを配信したりもしていますが、様々なアプローチでこれからもコンテンツを進めていきたいと思っています。」と前田は話しました。
「自炊」に距離を超えた「他者とのつながり」の物語を宿し、新しいモチベーション設計を。
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/jisui
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-mosstopia

登壇者:上野祥太
「MOSSTOPIA」は、モノを媒介に苔のユートピアを東京に創造することを目指すプロジェクトです。
上野:僕たちが今回のナナナナ祭で取り組んだのは、「Future Prototype」の展示です。苔がある未来の都市像をビジョンとして掲げながら、その未来を実際にモノを通じて感じてもらうための制作を行いました。もともとつくっていた「苔コーン」という作品に加えて、今回は苔と照明、苔と灰皿、苔とパネル、そして苔とウォールといった形で、5つのプロトタイプをブースに設計して展示しました。

上野:このナナナナ祭での展示をきっかけに、企業の方々からお声がけをいただくなど、様々な新しい展開がはじまっています。例えば、代々木上原のあたりに都市の森を所有している「コモリス」さんとのコラボレーションや、「Good Design New Hope Award」への応募、さらには別のメンバーがNTT都市開発さんのインキュベーションプログラムに参加するなど、ナナナナ祭を起点として活動が大きく広がっています。

上野:直近で実現したいこととしては、コモリスさんの土地を活用して苔を用いた壁面緑化を行ったり、エアコンの室外機の下で苔を栽培する実験などを考えています。
「これから、都市のどこで苔を調達し、どのように栽培していくのか。苔の生産から都市へと広げていく過程そのものを、MOSSTOPIAの中でしっかりとつくっていけたらと思っています。」と上野は話しました。
都市の第三のみどり「苔(MOSS)」を増殖させ、東京を苔のユートピアに!
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-city-stories-circus

登壇者:浅瀬石柚乃
「City Stories Circus」は、街の文化や歴史を現代サーカスやアートで表現することで、渋谷の文化100年の物語を表現するプロジェクトです。
ピッチの冒頭では、今回のプロジェクトの様子やメンバーの思いをまとめた動画が会場に流されました。
浅瀬石:(動画内の発言)今回のナナナナ祭では、渋谷の記憶をアートとパフォーマンスで表現するプロジェクトを実施しました。きっかけは4年ほど前にカナダのモントリオールで現代サーカスを見て、街のストリートを存分に生かした表現に大変な衝撃を受け、日本でもぜひ公演をやりたいと思ったことです。
野宮:(動画内の発言)私は今回、制作や演出、構成などに携わりました。今回の作品は、100年前から現在までの渋谷に「もしかしたらいたかもしれない、あったかもしれない」風景を路上に立ち上げるというものを、現代サーカスのパフォーマーの方たちと一緒につくってきました。また、会場内のアートブースとワークショップでは、100年後にはもう残っていないかもしれない現在の景色に目を向け、それを自分なりの視点で街の記憶として標本(拓本)にしていく試みを現代アートのクリエイターさんと行いました。東京という自分の出身地を、改めて「誰かのふるさと」として出会い直すことができたのがとても面白かったです。今後は今回のリバーストリートだけでなく、渋谷の神社や公園など、あらゆるスポットでその場所を活かした現代サーカスの公演をしていきたいなと思っています。
動画の上映に続いて、代表の浅瀬石が実際の成果についてピッチを続けました。
浅瀬石:動画でご覧いただいたのが、ナナナナ祭でのCity Stories Circusの様子と成果です。本番に至るまでには、プロフェッショナルなパフォーマーの方へのオファーや渋谷の街のリサーチ、事前のワークショップなどを行い、クラウドファンディングでは約47万円ものご支援を集めることができました。そして迎えた本番では、3日間で計6公演を実施し、なんと335人もの観客の方々にパフォーマンスを見ていただくことができました。

「今後の展望としては、まずパンフレットを制作しつつ、今回の振り返りを改めてしっかりと行いたいと思っています。そして、これからどのように事業化していくのかというところを、今まさに考えているところです。」と浅瀬石は話しました。
街に眠る物語を、現代サーカスでワクワクに変える!
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-refamily

登壇者:竹中弥来
「ReFamily」は、空き家を「眠った資源」ではなく、そこに暮らしてきた人々の思い出や記憶を未来へつなぐことで、所有者に寄り添った選択肢を提示し、空き家の可能性をひらいていくプロジェクトです。
竹中:私たちは、空き家所有者に寄り添った選択肢から空き家の可能性をひらくことを目指して活動しています。今回のナナナナ祭には「ものの履歴書」というものをテーマに出展しました。

竹中:元々100BANCHに入居したときは、空き家に残された「もの」にはあまり焦点を当てていなかったのですが、活動の4ヶ月間を通して、「自分は所有者の方の最初の1歩を後押しできるような存在になりたいんだ」と気づき、そこから「もの」という存在にフォーカスを当てるようになりました。

竹中:当日は、来場者の方に空き家に眠るものから空き家の可能性を考えてもらう体験を用意しました。実際に書いてもらった「ものの履歴書」を、前の所有者さんに見せられるような形にしたことで、それを見た所有者の方から「手放してよかったな」という前向きな言葉をいただけたのはすごく嬉しかったです。ナナナナ祭までの期間は本当に大変で、途中でやめようかなと思ったこともあったのですが、たくさんの人たちが背中を押してくれたおかげで無事に当日を迎えることができました。

竹中:イベントを通して来場者の方からたくさんの声をいただく中で、「もうちょっと身近に相談できる場所が欲しい」というご意見が多く寄せられました。そこでさっそく、声をかけていただいた方と一緒に、渋谷の幡ヶ谷で毎週木曜日に「ものと空き家の相談」を受け付ける取り組みをはじめます。「こういうもの、お家にないですか?」とおじいちゃんやおばあちゃん、地域の人たちと会話しながら、新しい交流のきっかけの場をつくっていく予定です。
「これからも色々な仕組みをつくったり、何ができるかを考えながら、もうちょっとちゃんとしたことをこれからできるようになりたいなと思っています。」と竹中は話しました。
空き家所有者に寄り添った選択肢から、空き家の可能性をひらく
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-toi-nexus

登壇者:西谷颯哲
「ToI Nexus」は、世界から詐欺をなくすことを目指すプロジェクトです。
西谷:今回のナナナナ祭では「偽警察官詐欺」を体験してもらう展示を行いました。これまで開発してきた「サギ止め太郎」を固定電話版からスマートフォン版へとシフトさせ、今年から兵庫県などと連携して取り組んできたものです。

西谷:僕らが一番の課題だと感じているのは、詐欺被害が「自分ごと」になっていないということです。サービスを広げていく上でもそこが非常にボトルネックになるため、日々起きている詐欺をリアリティを持って体験し、自分ごとにしてもらうことを目的としました。

西谷:実際のブースでの体験では、スマートフォンの画面に逮捕状が出てきたり、ビデオ通話で偽の警察官が警察手帳を見せてきたりする手口を再現しました。ここまでリアルな詐欺を実際に体験したことがある人はそうそういないので、新鮮味を持って楽しんで、かつ学んでいただけたのかなと感じています。

西谷:今は偽警察官の詐欺だけですが、今後はロマンス詐欺など、もっと多様な手口の詐欺体験をつくっていきたいです。「多様な詐欺をつくりたい」と言って変に切り取られたくないのですが、あくまで啓発の意味として様々なパターンを体験できるようにできたら非常に良いと思っています。
ナナナナ祭での大きな成果は、たまたま大手通信会社の方がふらっとブースに来て体験してくださり、その後の打ち合わせにつながったことです。僕らの事業は通信キャリアとの連携がないと限界が来るだろうとずっと考えていたので、良い機会になりました。さらに、消費者トラブルを扱う全国消費者団体連絡会の方も来てくれて、興味を持ってもらうことができました。一般の方がざっくばらんに来てくれるナナナナ祭だからこそ、色々な方とラフに話ができてつながれたのが本当によかったと感じています。
詐欺撲滅に向けて一番有効なのは、皆さんに一度「小さな詐欺」にかかる体験をしてもらうことだと僕らは思っています。今回のイベントでつながったご縁を形にするべく、ここからが勝負のフェーズに入ります。
「今回のナナナナ祭でつながりから、自治体やキャリアさんとの連携をしっかりと推し進めていけたらなと思っています。」と西谷は話しました。
二度と自分も騙されない! AIで世界から詐欺をなくす。
プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/tol-nexus
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-koto-no-hashi

登壇者:坂本遼
「言の橋(Koto-no-Hashi)」は、映画の動画ファイルから文脈を読み取って自動で字幕を生成するシステムの開発を通じ、言語の壁をなくしてクリエイターの可能性を世界へ広げるプロジェクトです。
坂本:僕たちは、映像ファイルを入れるだけで自動で字幕がつくれるシステムを開発しています。字幕制作の自動化は、映画を観る側にとってもつくる側にとっても強いニーズがあるという仮説があり、今回のナナナナ祭では、そもそも世の中にどれぐらいのニーズがあるのか、そして現在つくっているシステムが実用に耐えうるレベルなのかを検証しました。

坂本:3日間で約200名の方にご来場いただき、海外の映画4本を上映しました。また、当日持ち込みや事前申し込みで、日本のクリエイターの日本語作品に英語字幕を付けるという体験も行い、10名の方に参加していただきました。

坂本:反響は予想以上でした。一般の観客の方には十分受け入れられるレベルで、スペイン語やフランス語の作品を上映した際、ネイティブの方から「意味がめちゃくちゃ合っている」というお墨付きもいただきました。一方で、映画の研究者や字幕のプロの方からは「プロの基準から見るとまだ課題がある」といった具体的なフィードバックもいただき、大きな収穫となりました。特に自主制作映画をつくっている方々からは「今すぐ欲しい」「いつから使えるんですか?」という熱いお声がけを非常に多くいただいています。

坂本:現在はまさに事業化に向けて動いており、今後のポイントは品質向上と社会実装の2点です。広く展開していくためにはさらなる精度向上が必要ですし、これまでは僕のパソコンにデータをもらって処理していたものを、誰もが使えるWebサービスという形にする必要があります。インディーズや自主制作向けにはファイルを入れたらポンと字幕が出るようにしつつ、プロの現場向けには「公開用ではないけれど社内で買った映画の内容を確認したい」「マイナー言語の字幕の叩き台をつくりたい」といった明確なニーズがあることがわかったので、そこへクイックにアプローチしていく予定です。
「いただいた多くのフィードバックや明確になったニーズをもとに、言語の壁をなくすための開発と事業化をこれからも全力で進めていきます。」と坂本は話しました。
映画の字幕制作を自動化し、埋もれた才能を世界に広げる!
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-formeet

登壇者:中田歩希
「Formeet」は、日々のモヤモヤや「怒られデータ」を集め、自分自身の取扱説明書を作成するサービスを通じて、誰もが傷つかずに尊重し合える職場のインフラづくりを目指すプロジェクトです。
中田:皆さん、自分のトリセツを持っていますか?持っていない人が多いですよね。ということで「一緒にトリセツを作りませんか?」というブースをナナナナ祭で出展しました。

中田:当日はチーム3人でまるでマシーンのように動き、設問に答えてもらった方にカルテとキーホルダーをお渡しするという体験を提供しました。結果として約372人の方に体験していただき、アンケートにも答えてもらい、キーホルダーもたくさん買っていただきました。ナナナナ祭の3日間、僕たちは毎回データを集めてはUIを改善するという作業を繰り返していました。

中田:やってみてわかったのは、「自分自身に気づけた」という声が多く、カルテの精度自体もかなり高くできたということです。参加者の声としては「結構当たっていました」といった好意的なものが多かった一方で、「ADHDを見抜かれちゃいました」と、まるで探偵のツールのように受け取る方もいて、そういう捉え方もあるのだと新たな気づきになりました。ただ、アンケートが想定より集まらなかったことや、企業の方とお話ししてその先に広げていくところまで踏み込めなかったのは反省点です。

中田:ここから新たな仮説を立てて検証を進めました。「職場で使いたい」という声を受けて企業に提案したり、「当たりすぎて怖いです」という方や「ラベリングにならない気がした」という方にヒアリングを重ねたりして、「当たりすぎない方がいいのか」といったことも考えました。現在は診断を作り直したり、自分のトリセツを相手に見せる範囲を自分で変えられるようにアップデートを行っています。
この先の展開ですが、ナナナナ祭をやらせてもらって僕が一番に思ったのは、「いろんな人にひたすらツールを使ってみてもらう」ことの重要性です。372人の方に体験してもらったことで、ツールが劇的に良くなったからです。そこで企業やNPOと協力して実証実験をしようとしたのですが、打ち合わせなどに時間がかかりすぎてスピード感が合わず、「だったら僕自身で検証できる場所を作ってしまおう」と決意しました。具体的には、カフェを作り、そこで就労困難な方を雇ってツールの検証をどんどん進めていく予定です。また、このトリセツとコーチングや日記サービスを組み合わせたり、ナナナナ祭で売り切れてしまって買えなかったという声が多かったキーホルダーをECサイトで販売したりといった展開も進めていきます。
「スピード感を持ってツールの検証とアップデートを繰り返し、誰もが傷つかずに尊重し合えるインフラづくりをこれからも進めていきます。」と中田は話しました。
「怒られデータ」から社会に潜む見えないズレを可視化し、障害のない職場をつくる
プログラム詳細:https://100banch.com/events/nanananasai2026-kizuki_0

登壇者:山﨑玲美
「Kizuki_0」は、不思議な動きや形の折り紙からインタラクティブな作品をつくり、人々がそれに触れて探索することで様々な気づきが生まれるような、新たな体験空間を生み出すプロジェクトです。
山﨑:ナナナナ祭では、「幾何学折り紙」と2つの作品に触れる体験を行いました。1つ目は、引っ張ることで音が鳴るおもちゃのような「ミウラ折り楽器」です。2つ目は、覗き込むことでいつもと違った渋谷の風景が見える「折り紙から見る渋谷」です。

山﨑:ここでの検証内容は「気づきの段階」についてでした。まず触ることで気づきが生まれ、そこから探索が起こるのか、さらにそこから気づきの拡張が起こるのかということを検証していきました。
はじめはブースの後ろに何も貼っておらず寂しい感じだったり、説明に苦戦してなかなか作品に触ってもらえないこともありました。しかし、そこからレイアウトの変更など試行錯誤を繰り返した結果、最終日には多くの方に直感的に楽しんでいただくことができました。

山﨑:いただいたコメントは全部で185件にものぼり、その中で形状や感覚への驚きといった直感的な感想が45%を占めました。「不思議な音や生き物感が楽しい」「折り紙に折り目をつけるだけで予想できない形になるのが不思議」といったうれしいコメントをたくさんいただき、目指していた賑わいのある風景をつくることができたのではないかと思っています。

山﨑:この展示を通して、幾何学的な折り紙に「体験応用」のポテンシャルがあることが見えてきました。一方で、「ミウラ折り楽器」に関しては企業の方からあまり依頼やアドバイスをいただけず、完成度が低かったからかもしれないという反省もありました。だからこそ、これを本格的なおもちゃとして自由に遊べる仕組みにしたいと強く思うようになりました。

山﨑:また、ナナナナ祭を経て、触って直感的に面白いものであれば、専門家の中でしか知られていないような最新の研究であっても装置として成立するのではないかと気づきました。今私自身が研究で取り組んでいるものも、未知なる装置として面白いものにできるのではないかと考えています。直近では、9月5日、6日に開催される「Maker Faire Tokyo」への出展が決まっています。
「次のイベントでは、ミウラ折り楽器を本格的な装置として完成させて遊んでもらうことと、自分の研究が『遊び』としてどれほどの可能性を持っているのかをしっかり模索していきたいと考えています。」と山﨑は話しました。
折り紙・工作に潜む数理から生まれた装置で、「気づき」を立ち上げる!
ナナナナ祭2026での試行錯誤を経て、新たな成果と確かな手応えを得たメンバーたち。それぞれのネクストアクションと、これからのさらなる飛躍にぜひご注目ください!
