• イベントレポート

デジタル×アナログで届ける感情体験。ナナナナ祭で確かめたkotohaの存在意義「翻訳できないことば 謎とき」──ナナナナ祭2026を終えて

世界中の「翻訳できないことば」を軸に、言語の多様性と日常の感情をつなぐプロジェクト「kotoha」。世界中に存在する「日本語でも英語でもピッタリ一言で言い表せないことば」を映像、イラストや展示など様々なかたちで共有しています。
ナナナナ祭2026では、体験展示「『翻訳できないことば』謎とき」を実施。来場者一人ひとりの感情に世界の言葉で名前をつける体験や、「翻訳できないことば」をテーマにしたガチャガチャを通して、言葉の面白さや奥深さを楽しんでもらいました。その模様を、kotohaの渡邉このみがレポートします。

1:はじめに

世界を知りたい。ことばを知りたい。あなたを知りたい。ことばを知りたい。

kotohaはこれまで「ことばをもっと、あなたのそばに」というメッセージを掲げ、「翻訳できないことば」を使った展示会や映像制作、プロダクト開発などをしてきました。

2月に開催した企画展「この気持ちに名前があったら展」

今回の企画は、私たちがこれまで抱えていたある課題意識からスタートしました。

「私たちが『良い』と思うkotohaと、周りが『求める』kotohaとのギャップは何か?」

これまでkotohaは、自らの世界観や「私たちが良いと思う表現」を愚直にカタチにし、展示や映像作品として届けてきました。しかし、100BANCHの皆さんとのミーティングや対話を重ねる中で、自分たちでは当たり前になりすぎて気づけていなかったkotohaの魅力や価値、そして発信側と受け手側の認識の「ズレ」を強く実感することになります。

「ただ自分たちの表現を発信するだけでなく、一人でも多くの人に必要とされるkotohaになるにはどうすればいいのか?」 「『こんなの探してた!』と心揺さぶられたその先に、どうすればkotohaという存在が残るのか?」

自分たちのエゴを一度手放し、他者の視点からkotohaの強みを再定義する、長い模索の期間が始まりました。

 

2:合宿で得たブレイクスルー

ナナナナ祭の開幕に先立ち行われた二泊三日の事前合宿。Panasonic本社でのピッチや岐阜での農作業など、ブレインとフィジカルの双方をフル稼働させながら、100BANCHの仲間たちと企画をブラッシュアップしていきました。

「初恋を創出する場」――。 悩み抜いた末に浮かび上がってきたこのフレーズは、kotohaが届ける体験の本質を鮮やかに表していました。まだ名前のつかない感情にぴったりの「翻訳できないことば」と出会ったとき、人はまるで「初恋」に落ちたかのような、心が揺さぶられる衝動とときめきを覚えます。

また、この合宿はプロダクトの方向性にも大きな転換をもたらしました。 それまでkotohaの強みは展示や映像、プロダクトといった「アナログな体験」にあると考えていましたが、他の100BANCHメンバーから客観的な意見をもらう中で、「kotohaはデジタル領域でも人の心に溶け込む大きな可能性がある」と気づかされたのです。

そこで決定したのが、約1年半前に制作した初期プロダクト「ことば生成機」の大幅なリニューアルでした。

言葉集めの精度や技術的なハードルからしばらく運用を休止していたプロダクトでしたが、エンジニアメンバーの協力を得て急ピッチでブラッシュアップ。キーワードを入力すると、その人の現在の心境にぴったり寄り添う「世界のことば」を提案する仕組みへと生まれ変わりました。日常に寄り添うデジタルと、感情を揺さぶる言葉体験の融合。kotohaにとって新たなスタートを切るための大きな決断でした。

当日のことば生成機

 

3:迎えた当日

怒涛の準備期間を経て迎えたイベント当日。直前まで企画を磨き続けたこともあり、前日は深夜まで設営に追われ、当日は一日中立ちっぱなしで来場者をご案内するという、リアルイベントならではの熱気と慌ただしさに包まれました。

ブースで一番の目玉となった「ことば生成機」の体験コーナーでは、来場者の方々から大きな反響をいただきました。

「世界に、こんな感情を表す言葉が存在するの?!」

画面に映し出された自分だけのことばに目を見張り、じっくり説明を読む来場者のみなさまの表情。画面を写真に撮ってことばを持ち帰るその瞬間、会場には確かに「ことばとの初恋」が生まれていました。リアルな場で直接いただくフィードバックや生の感想は、何物にも代えがたい喜びであり、私たちが届けてきた価値が間違っていなかったという強い確信へと変わっていきました。

たくさんの方にご来場いただきました

 

4:さいごに

ここ数ヶ月のkotohaは、新メンバーの受け入れ準備や新規プロジェクトの立ち上げなど、目まぐるしい変化の渦中にありました。だからこそ、このナナナナ祭という節目において、チーム全員で「kotohaが本当に大切にしたい軸は何か」を徹底的に問い直し、一つの形として結実させられたことは、プロジェクトにとって非常に大きな意味を持つ時間となりました。

「私たちが表現したいこと」と「他者から求められること」の接点を探し続けた4ヶ月間。ナナナナ祭という挑戦の場があったからこそ、kotohaはデジタルという新たな武器を手に入れ、自分たちの軸をより強固なものにすることができました。

「こんなの探してた!」の先にある存在になれるよう、今回のナナナナ祭で得たデータや来場者の生の声を糧に、言葉集めと技術のアップデートをさらに進めていきます。

貴重な機会と素晴らしい学びの場を与えてくださった100BANCHの事務局の皆様、メンターの皆様、そして共に高め合った入居メンバーの皆様に、心から感謝申し上げます。これからもkotohaの挑戦は続きます!

 

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