自分の肌に自信を持てる人を増やし、ルッキズムに揺るがない社会をつくる!

skinU
自分の肌に自信を持てる人を増やし、ルッキズムに揺るがない社会をつくる!
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skinU リーダー・WEBサイト制作 星晴登


肌に悩む若者向けプラットフォーム「skinU」を率いるリーダー星晴登。多種多様なスキンケア商品が市場に溢れる中、「自分に合う商品を選べない」という問題に向き合っています。取材中、印象的だったのは、活動を重ねる中で星が課題の捉え方を変化させてきたことでした。
「誰も傷つかない世界」はつくれない。
そう言い切るまでには星自身の原体験だけでなく、ユーザーや皮膚科医との対話、ビジネスコンテストでのフィードバック、数々の試行錯誤がありました。肌をきれいにすることではなく、自分の肌と向き合うきっかけをつくること。その考えにたどり着いた過程と、仲間たちと描く未来を聞きました。
──skinUは肌の悩みを抱える若者向けプラットフォームとして、ユーザー数を伸ばしているそうですね。最近はどんなことに取り組んでいますか?
星:現在は、自分に合ったスキンケア商品を提案するサービス「ユア肌」の実証実験を進めています。ビジネスコンテストでの出会いから、大手ドラッグストアさんと連携して店頭にPOPを設置させていただけることになりました。

ドラッグストア店頭に設置するユア肌の試作POP
星:ユア肌は、いくつかの質問への回答から、その人の肌質や悩みに合ったスキンケア商品を提案するサービスです。ドラッグストアに行っても、「種類が多すぎて何を選べばいいかわからない」という方は少なくありません。特にスキンケアに慣れていない僕たちのような若い世代にとっては、最初の一歩のハードルが高いと感じています。そこで、自分の肌について知りながら商品選びができる仕組みをつくることで、スキンケアをもっと身近なものにしたいと考えています。
──「肌診断」や「商品レコメンド」とも少し違うのですね。
星:どちらの要素も取り入れて、良いところ取りをしているようなイメージです。肌の悩みや生活習慣に関する質問に答えてもらうことで、自分の肌にはどんな性質があるか、なぜその商品が自分に合っているのかを理解できることを大切にしています。僕たちは自社製品を持っているわけではないので、特定の商品だけをおすすめするのではなく、フラットな立場から、第三者視点で情報を提供できると考えています。
skinUの活動をはじめた当初は、「肌の悩みで傷つく人をなくしたい」という想いを強く持っていました。実際に僕自身も肌を馬鹿にされて嫌な思いをした経験がありましたし。でも、色々な人と話をしたり、テスターの方にサービスを使っていただいたりする中で、考え方が変わっていきました。たとえ肌がきれいになったとしても、別の悩みが生まれることはありますし、外見に対するからかいや偏見を完全になくすことも簡単ではありません。そうした現実を知る中で、「誰も傷つかない社会」を目指すよりも、「自分に自信を持てる状態」をつくることの方が大切なのではないかと考えるようになりました。実際にskinUのサービスを利用した方からも、「肌が改善したことそのものより、自分の肌と向き合えている実感が持てたことで前向きになれた」という声をいただくことがあります。だから僕たちは、自分自身と向き合うきっかけをつくりたいと思っています。その積み重ねが、自信につながっていくと考えています。
──「自分自身と向き合うきっかけ」という言葉が印象的です。
星:いきなり商品の特徴を知ったとしても、自分の肌の状態や性質がわかっていないと正しい選択をするのは難しいと思うんです。スキンケア製品の販売では、コンプレックスマーケティングの問題もよく指摘されます。自分の現状がわからなかったり、自分の選択に自信を持てていないと、キャッチーな煽り文句に惑わされてしまって、知らないうちに自分に合うのかよくわからない商品を必要以上に買っていた……という状況に陥ってしまいます。だから、「自分の現状を知る」という部分にはこだわりたいです。
──星さんは現役の高校生ですが、起業にはいつ頃から興味を持っていたのでしょうか?
星:きっかけは、中学3年生のときに3ヶ月ほど行ったニュージーランド留学です。深く考えて渡航したわけではないのですが、今振り返るとその留学が将来を大きく変えたと思います。僕は中高一貫校に通っているのですが、両親から勉強をしっかりやるように言われていたこともあり、高校では国公立大学の受験に力を入れるコースへの進学を考えていました。ただ、中学校生活にはどこか停滞感のようなものも感じていて、「これから何をしようかな」と考えていた時期でもあったんです。それで、変化を求めて3ヶ月の留学に行きました。
留学中、ホームステイ先の家族が、事前にスマホで注文した商品をスーパーで受け取っているのを見たときに「スーパーって、歩き回って買い物するだけじゃないんだ」と、小さな驚きがありました。僕は中学校でWebサイト開発を経験していたこともあって「自分でもこういうWebサービスをつくってみたい」と思ったんです。今考えると、すでに日本にもよくあるサービスなんですけどね(笑)。
そんな気づきから帰国後は、アントレプレナーシップを学べるコースを選んで高校に進学し、ビジネスコンテストにも挑戦するようになりました。

──最初のビジネスアイデアは肌がテーマではなかったのですね。
星:実は、ニュージーランドから帰国した頃には、自分自身も肌に悩んでいました。現地で買った洗顔料や乳液が肌に合わなくて、肌荒れしてしまったんです。でも、それはすごくプライベートな悩みだったので、人には話したくありませんでした。だから、自分が「肌」をテーマに何かをやろうとは全然思っていなかったんです。
高校では学内のビジネスコンテストに向けて肌とはまったく別のプロジェクトを進めていたのですが、コンペ当日、優勝したのが今のskinUの前身となるプロジェクトでした。……正直、すごく悔しかったです(笑)。当時メンバーの2人──今のskinUメンバーでもある五藤くんと冨澤くんは中学時代から知っている友人でした。仲は良かったのですが、どちらかというと一緒にふざけるタイプの友達で、「ビジネスで負ける相手」だとは思っていませんでした。だからこそ、すごく衝撃でした。
でも2人に話を聞いてみると、自分との決定的な違いに気づきました。僕は留学中のスーパーでの気づきから「こんなサービスがあったら面白そうだなぁ」という発想でプロジェクトを考えていました。どこか、コンテスト用に用意したところもあったと思います。一方で、彼らは自分たちが切実に悩んできた肌の問題からスタートしていたんです。「あれっ、こいつら、自分とちゃんと向き合っていたんだな……」と。原体験から生まれたプロジェクトって、こんなに強いんだ、と思いました。自分の中で、とても大きな気づきでした。
──それでskinUに加わることを決めたんですね。
星:はい。もちろん負けた悔しさもありましたが、それ以上に「このチームなら、本当に社会に価値を届けられるかもしれない」と可能性を感じました。自分も肌に悩んだ経験がありましたし、課題にすごく共感できました。それに、skinUは「誰が困っていて、どんな悩みを解決したいのか」が明確だったんです。だから、自分もこのチームの一員として、一緒に挑戦したいと思いました。僕は元々話を前に進めて行動し続けるタイプなので、気づいたらskinUのリーダーになっていました。
──ビジネスコンテストにたくさん出場したり、100BANCHに入居したり。高校生だけのチームで活動を続けるなかで、難しさはありませんでしたか?
星:一番難しかったのは、みんなで集まることでした。メンバー5人のうち3人は「スポーツガチ勢」で部活動にかなり力を入れていて、都大会に出るようなレベルです。夏休みもいそがしくて「そもそも、いつどこで会う?」という状態でした。そこで、活動拠点としてすごく助けられたのが100BANCHでした。
学校だと、遊んじゃうんですよね(笑)。放課後も教室に残っているクラスメイトが多くて、喋ったりゲームしたり、ペットボトルで野球をはじめたり。気づけば誰かがグローブとボールを持ってきたりして(笑)。だから、学校とは切り替えられる場所が必要でした。100BANCHの空気感は、それまで僕がいた環境とはまったく違いました。学校やビジネスコンテストではお互いのビジネスプランを競い合って「どっちがすごいか」を比べるような雰囲気がありました。だから100BANCHももっと厳しい場所だと想像していたんです。でも実際に来てみるとすごく和やかで、ビジネスだけでなくアートや文化、社会活動など様々なプロジェクトがあって、フィードバックの内容も「競争」の観点だけでなく、自分の価値観が広がった体験でした。
100BANCHへの応募動画は、今思うと男子高校生の勢い丸出しだったんですけどね。掃除用具を持って学校で撮影したもので、とにかくガッツで行動していて、活力だけがみなぎっていました。よく採択されたなぁと思います(笑)。

skinUメンバー
──高校生らしい一面もある一方で星さんと話していると、年齢や肩書きを忘れてテーマについて会話できている感覚もあります。
星:あまり自分や相手の年齢は意識していないかもしれません。でも、高校生だからこそ思い切って失敗できたり、分からないことを大人の方に聞けたりする部分もあると思うので、そこは大事にしています。関わる方のほとんどが人生の先輩なので、いただいた意見はまず素直に受け止めるようにしています。
その点で大きかったのは、皮膚科へ電話をかけ、皮膚科医の方に話を聞きに行ったことです。きっかけはテスター検証やビジネスコンテストで、「この肌分析や商品提案は本当に大丈夫なのか」「誰が信頼性を担保しているのか」と質問や指摘をいただくことが増えたことでした。最初はWeb上で調べたデータをもとにロジックをつくっていたのですが、それだけでは不十分であることを感じていました。
それなら、実際に専門家に聞いてみよう!と。東京都内の皮膚科をリストアップして、1件ずつ電話をかけていきました。もちろん、すべての方がウェルカムだったわけではありませんが、自分たちが逆の立場だったら、あしらう人がいても仕方ないなとも思っていたので、あまり気にせずかけていました。皮膚科医の方と話してみると、反応は大きく2つに分かれました。「それは医療の領域だから」と慎重に見る方もいれば、「すごく面白いね」と興味を持ってくださる方もいました。同じ皮膚科医でも考え方が違う。その違いを知れたこと自体が大きかったです。
また、皮膚科医の方とのやり取りを通じて、ニキビの状態によって必要な対応が異なることを知り、skinUのサイト上でのニキビに関する質問も一時期かなり増やしました。最初は31問くらいあったのですが……それでは回答者の負担になるので23問まで減らし、さらに今は最大16問程度まで絞っています。ニキビに悩んでいる人とそうでない人で質問数を変えるなど、使いやすさと信頼性のバランスを調整しているところです。
──専門家の意見を聞きながら、サービス自体も変えていったんですね。様々な人と関わる中で、ちょっと耳が痛いようなことを言われることもありませんか?
星:もちろん、たくさんあります。僕は良いことを言ってもらったときより、厳しいことを言われたときの方が記憶に残るんですよね。特に印象に残っているのは、ビジネスコンテストで審査員の方から「それって、みんなAIに相談するようになるんじゃない?」と言われたことです。それまでにも、収益性や事業としての妥当性について厳しく聞かれることはたくさんありました。でも、その指摘はもっと広い視点から、「AIが発達していくなかで、skinUは淘汰されないのか」とサービスの核心を突くものだったので「じゃあ自分たちは何を強みにするのか」を深く考えるようになりました。まずはskinUというサービス自体をもっと広げて、知ってもらうこと。そして、実際に使ってくださるユーザーの肌のデータを蓄積していき、将来的にはそうしたデータを生かして、肌に特化したAIへ発展させることも考えています。実際、今はskinUを使ってくださる方も増えてきています。

──現在は、どれくらいの方がskinUを利用しているのでしょうか?
星:これまでに2,000人ほどの方に使っていただいています。ただ、実はその方たちが提案された商品を実際に購入したかどうかは、僕たちには分からないんです。以前はアフィリエイトリンクを使うことも考えていましたが、ビジネスコンテストで「それだとユーザーが本当に買いたいと思えるかな」とコメントをいただきました。そこで今は、通常のリンクで楽天市場の中から購入しやすい商品を表示する仕組みにしています。
ただ、その仕組みだと僕たちが確認できるのは、提案結果を見た方が楽天市場の商品ページに移動したところまでです。実際に購入したかどうかまではわからないので、そこはすごくもどかしいですね。商品ページまで進んでくださる方の割合は高いので、商品提案のロジック自体には可能性があると感じています。もちろん、「もっと収益化しやすいやり方があるんじゃないか」と考えたことは何度もあります。早く売上を立てなきゃと焦った時期もありました。でも、そのたびに立ち返るのは「自分たちは何を実現したいのか」ということでした。短期的な収益のためにユーザーからの信頼を失うような仕組みにはしたくないな、と。その考えは今も変わっていません。

──skinUの活動を続けるなかで、現在は株式会社mooseiの設立も進めていますよね(※取材時)。会社という形にしようと思ったのはなぜだったのでしょうか?
星:BtoBの取り組みを進めていくうえで、法人格が必要になったことが大きかったです。ドラッグストアさんのような企業とやり取りをするには、やっぱり会社としての形が必要になる場面があります。ただ、設立は思っていた以上に大変でした。高校生なので法定代理人の許可が必要ですし、メンバーそれぞれの家庭でも話し合いが必要でした。戸籍謄本を取り寄せるだけでも時間がかかったりして、最初はもっと早く設立できると思っていたのですが、実際には時間がかかりました。
メンバー同士で、会社として続けていくうえでどういう意識でやっていくのか話し合いもしました。正直に言うと、メンバー全員が同じ目的でskinUを続けたいと思っているわけではありません。大学受験を見据えて活動しているメンバーもいますし、将来的には音楽をやりたい人、教育に関心がある人もいます。
でも、僕はそれでいいと思っています。やりたいことが違うのは自然なことですし、アプローチが違っても、つくりたい社会が重なっていれば一緒にやっていけると思うんです。mooseiのコンセプトは、「等身大の課題を解く」です。skinUはメイン事業ですが、会社としてはskinUだけをやるための場所にしたいわけではありません。音楽をやりたいメンバーにも、教育に取り組みたいメンバーにも、それぞれ原体験があります。今まで一緒に活動してきたからこそ、何をどう進めればいいのかも少しずつ見えてきました。だったら、会社のリソースを使いながら、それぞれの課題にも挑戦できる場所にしたいと思ったんです。
──同じ会社の中で、お互いの挑戦を支え合っていくようなイメージなんですね。
星:そうですね。もちろん、みんないそがしいですし、大学受験もあります。正直、時間が足りなくて「高校を辞めたい」と思う瞬間もあります(笑)。でも、チームでやっているからこそ、自分を責めすぎずにいられる部分もあります。もし全部が自分一人の責任だったら、かなり苦しいと思うんです。競争的な環境で出会ったからこそ、仲間と一緒にやれることの価値も感じています。ビジネスプランや収益性だけではなく、人間性で認め合える関係は、今だからこそ得られているものなのかもしれません。
──10年後や100年後を見据えたとき、星さん自身はどんな景色が見られたら嬉しいですか?
星:10年後でいうと、コンプレックスを刺激して商品を売るようなスキンケアのマーケティングがなくなっていてほしいです。商品を売るための宣伝が完全になくなるわけではないと思います。でも、自分の肌に本当に合っているものが分からないまま、不安を煽られて商品を選ぶのではなく、自分に合うものと自然に出会える状態をつくりたい。「服を買うならユニクロ」くらいの感覚で、「スキンケア商品を選ぶならskinU」と思ってもらえるような、包括的なプラットフォームにしていきたいです。
100年後のイメージは難しいですが、僕は昔から「日本にイノベーションを起こしたい」という想いがあります。skinUは一見、技術革新とは遠いものに見えるかもしれません。でも僕にとっては、一つひとつの仕組みや技術の積み重ねも、小さなイノベーションなんです。
まずは、男子高校生の自分自身が悩んでいた課題を解決したい。その先にどんな社会が見えるのかを見てみたいです。そして仲間たちが描く未来も支えながら、社会に恩返しできたらと思っています。
