一番遠くで、犬を抱きしめたい。犬と人の共生の未来を創造する。

Next1Dogs project
一番遠くで、犬を抱きしめたい。犬と人の共生の未来を創造する。
100BANCHで毎月開催している、若者たちが試行錯誤を重ねながら取り組んできた“未来に向けた実験“を広くシェアするイベント「実験報告会」。
これからの100年をつくるU35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」を終えたプロジェクトによる100BANCHでの活動報告や、100BANCHでの挑戦を経て、プロジェクトを拡大・成長させた先輩プロジェクトによるナビゲータートークを実施しています。
2025年4月23日に開催した実験報告会では、洋服をポケットに入るサイズまで圧縮する技術を用いて、誰もが身軽に地球外に飛び出せるような社会を目指すGARAGE Program35期生「To you would like to travel to the earth outside.」の川口相美(株式会社SJOY 代表取締役社長)をナビゲーターとし、GARAGE Programを終了した5プロジェクトが活動を報告しました。
本レポートではその発表内容をお伝えします。
一番遠くで、犬を抱きしめたい。犬と人の共生の未来を創造する。
登壇者:相場葵
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/next1dogs-project
「Next1Dogs project」は、イラストレーションという手法を起点に、クリエイティブの力で、犬に対する潜在的な価値観やリテラシーをアップデートし、犬と人が心地よく暮らす未来を目指すプロジェクトです。
相場:結婚や引越し、車の購入など、人生の中で大きな決断をするとき、みんな誰かに相談するのに、犬を飼うときはどうして衝動的になってしまうのでしょうか。それは、ペットショップで犬と出会うケースが多く、その場で直感的に犬を決める傾向が強いからだそうです。実際に、代々木公園のドッグラン付近で独自調査をしてみたところ、7家族に取材することができました。ペットショップでの購入が7分の5、一目惚れでの購入が7分の6という結果となり、本当に犬を飼うときは衝動的になってしまうということが分かりました。犬を選ぶ際には、犬種や生い立ち、価格や性別にこだわらず、フィーリングを重視しているんじゃないかという仮説を立てました。友だちに聞いてみてわかったのですが、老後の楽しみに犬を飼いたい高齢夫婦に牧羊犬のシェットランドシープドッグが売られたり、小学校に上がった子どもの兄弟代わりの犬を飼いたい家族にゴールデンレトリーバーを勧めたり、販売する個体に対するマイナスプロモーションができない販売員と、犬の理解と知識が浅い飼い主の間で、ミスマッチが起こっているのです。世界には300種類以上の犬種が存在するので、もっとたくさんの犬種が選択肢に入ればいいと思うのですが、子犬ばかりが売られていきます。成犬だって老犬だって、条件に合う犬はたくさんいます。「犬を知らないのはもったいなすぎる。こんなおせっかいな犬オタクがみんなの役に立つかもしれない。」と思い、プランナーという職業・犬のイラストレーション技術・犬への強烈な興味関心、この独自性の高い自分の強みをかけ合わせた、新しい職業「ドッグプランナー」を提案します。対話と視覚化、この2つのコミュニケーションを付加価値とし、パーソナライズされたドッグライフの提案をします。飼い主と犬の共生をデザインする時代をつくり、ゆくゆくは犬のコミュニケーションのプロフェッショナルを目指すとともに飼い主のサポート体制も強化していきたいです。
「日本のペットショップでは犬は幼いほど可愛くて売れるとされています。ドッグプランニングを付け足すことで、幼い以上の新たな付加価値を生み、タイムリミットのないペットショップを提案する未来が来るのではないかと思っています。」と相場は話しました。
ボランティアで人間力が高まり、少しの行動で誰かの助けになれるような社会を目指して
登壇者:青山士紋
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/voluntas
「voluntas」は、学生がボランティア活動をしやすい環境をつくり、豊かな共生社会の構築を目指すプロジェクトです。
青山:ボランティアをしたい学生とその受け入れ側をマッチングさせたいという理念を掲げ、voluntas という団体を立ち上げ、マッチングサイトを運営しています。日本ではボランティアへの関心は高いのに参加率が低かったり、部活や勉強でいそがしくてボランティアができなかったりという現状があります。また、僕自身も最初は誰かと一緒に参加したいなと思って、友だちを誘ってはじめたのですが、1人だと参加しづらいという部分は障壁の1つだと思っているので、サイトでは友だちと一緒に参加申込ができるようなシステムにしています。日本の学生の半分は「自分に価値があると思えていない」という調査結果があります。これは他国に比べて著しく高い数字で、自己肯定感の低さや自己否定につながり、自分の可能性を制限してしまったり、どうせダメだろうという考えに陥りやすくなってしまいます。100BANCHに来ている方々は、没頭できることや運命的な出会いをもって活動に取り組んでいると思うのですが、そういった運命的な出会いができる人はそんなに多くありません。このような出会いを作ることができるのではないかと考え、ボランティアを促進していきたいと思っています。
100BANCHでは、公民館やボランティアセンターを訪問したり、民間のボランティア団体と対談したりして提携するボランティア先を増やしてきました。また、ボランティアの予約制度について改善を行っています。出席管理ができていない現状なので、QRコードで読み込むと出席管理ができるシステムを、ボランティア先の人にアプリを導入してもらって実現したいと考えています。その他の活動実績として、今週末、ちょうど大きなお祭りがあるのですが、2日間で40人程のボランティアが、Webサイトを通じて参加申込をしてくださいました。また、母校でも voluntas の活動について説明をさせていただく機会もありました。ボランティアに参加するきっかけは、学校を通して参加ということが多いので、学校と共同して、ボランティア先を紹介するポスターを掲示させていただいたり、告知をしてもらったりして、ボランティアの促進をしていきたいと思っています。
「今後は、運営メンバーを増やし、連携する団体も増やしていきたいです。また、他の学校との連携を進めたり、ボランティア先との面談を重ね、より良いシステム作りに励んでいきたいです。今年のナナナナ祭にも出る予定なので、ぜひ見に来てください。」と青山は話しました。
ダジャレの「発想法」としての可能性を探求する
登壇者:加藤寛大
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/dajare-products
「駄洒落プロダクツ」は、ダジャレの「発想法」としての可能性の探求を目指すプロジェクトです。
加藤:GARAGE Programを延長して今は6ヶ月目の段階です。前回の3ヶ月目の発表の際に「ダジャレとオシャレの境目はどこにあるのか?」という新しいテーマが見つかりました。なので、発想法としてのダジャレの可能性を探求するのみならず、この新しいテーマについてここ3ヶ月は考えていました。実際に行ったことは大きく3つあり、中高生向けのダジャレワークショップの開催、ボードゲーム「麻雀拳」のブラッシュアップ、そして、ダジャレの名手・広告コピーの名手である眞木準さんのコピー展を観に行って学んできました。
まず1つ目は「a school」という中高生向けの探求学習スクールに呼んでいただき、ダジャレを使って言語学を考えてみるワークショップを行いました。結果として、思春期の中高生にはダジャレを口にする恥ずかしさが見えました。上手に考えている人もいましたが、恥ずかしがる人やどう考えたらいいのか分からず止まっている人もいて、駄目な洒落と書いてダジャレですが、「駄」の状態でアウトプットして他人に見せることには恥ずかしさがあるのだなと感じました。2つ目は「麻雀拳」のブラッシュアップです。来月開催されるボードゲームの祭典「ゲームマーケット」に出展を決めたので、それに向けてルールやデザインをブラッシュアップしているところです。ダジャレは異なる2つの言葉を無理くりくっつけたものとも言えるので、それを面白くするには壁があり、特にボードゲームはかなりシステマチックで緻密に設計しないといけないため、現在も苦戦しています。最後は「でっかいどお。北海道」というコピーで有名な眞木準さんのコピー展へ行ってきました。ダジャレなのにオシャレだなとすごく思ったのですが、「ダジャレだけれどもオシャレ」という境地に至るまでには、眞木さんのとてつもないスキルや努力があったのではないかと、コピー展に行って思いました。
この3ヶ月では「ダジャレとオシャレの境目はどこにあるの?」という問いについて考えてきましたが、それはシンプルにできあがったもののクオリティにあるんじゃないかと思いました。大テーマの「ダジャレの発想法としての可能性を探求する」ことについては可能性はあるけれど、「駄」のままでは人は動かないし、人が集まるような企画は生まれない。だから、ダジャレをオシャレに昇華する必要があると思いました。
「ダジャレとオシャレの間をつなぐ人間になるべく、『駄』を見捨てない姿勢と、オシャレを目指す向上心の2つを大切にこれからも生きていきたいです。」と加藤は話しました。
ファッションを通じて、誰もが自己表現し、インスピレーションを受け取れる世界を創造
登壇者:鶴 健一郎
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/lamuse
「LaMuse」は、AIを活用して誰もがファッションで自己表現を楽しむ世界の実現を目指すプロジェクトです。
鶴:私たちの根幹にある想いは「誰もが自己表現し、ファッションを通じて創造性を開放する」世界の実現です。最終的にはユーザーが頭に描いたイメージやインスピレーションを受けた画像を送るだけで、世界に1つだけの服が出来上がって手元に届く、究極のパーソナルファッションプラットフォームをつくりたいと思っています。しかし、プロジェクトを進める上で2つの大きな壁にぶつかりました。1つは、デザインやアイデアを実際の服にするためには、たくさんの工程と技術が必要で、型紙をつくるAIで十分な精度のものがほとんどないということ。もう1つは、それ以前に試着ができずに自分に似合うかどうかわからないという不安があったり、そもそも服を作ろうと思わない、といった「選ぶ」ことの壁もあります。こういった課題が解決できていないと思い、事業を方向転換することにしました。それでつくっているのが「STYLEFY」というサービスで、ファッション知識や服を選ぶ時間がなくても、AIがコーディネートを提案し、バーチャル試着もオンラインでできるというものです。例えば、「秋にデートに行きたい」と入力すると、その時期に適したアイテムをレコメンドしてくれて、商品のECサイトに飛ぶことができます。また、Dressing AI という機能で、自分の着たい服の画像を入力すると、実際に自分が着ている姿が出力され、その服が自分に似合うのかどうかをオンライン上でバーチャル試着ができるようになっています。複数のECサイトを横断して組み合わせたコーディネートの提案で「選ぶ」ことの壁を壊していきたいです。
「最終的に自分たちのやりたい世界を実現するために、まずはバーチャル試着で服を選ぶことに対しての不安を解消して、選択肢を広げ、次のフェーズで、製造についての壁を壊すところにつなげていくというのが、現在取り組んでいることです。」と鶴は話しました。
親子の信頼を深め二人三脚の受験を支援するアプリを開発!共に成長できる体験を提供する
登壇者:中能真之介
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/spring-creators
「Spring Creators」は、親子の絆と信頼を深め、二人三脚で中学受験を乗り越えるためのコミュニケーションアプリ「サクラサク」の開発を目指すプロジェクトです。
中能:私は現在17歳の高校2年生です。私が取り組んでいるのは、教育コミュニケーションという分野です。中学受験の過熱によるコミュニケーションの悪化をスマートフォンで解決できないか。これが私の最初の問いでした。私は勉強において「何も心配せずに集中できることの効果は絶大である」と仮説を立てました。その仮説を拡張し、「日常的なコミュニケーションが不満や理不尽をため込まないための鍵なのではないか」という考えに最終的にたどり着きました。そこから私がつくっているのが円滑なコミュニケーションで最高の受験環境をつくる「サクラサク」というアプリです。「サクラサク」には、LINEのようなコミュニケーションツール機能や、家族がチームとなり、それぞれがミッションを決め、「みんなで達成していこう。子どもだけが頑張る状況をつくらないようにしよう」と励まし合うミッション機能があります。これらに加え、今回「ホウコク」という新機能も追加しました。例えば、子どもが算数を60分勉強したという報告が親に届き、それをみた親が子どもを褒めたくなるといったようなコミュニケーションを促進する機能です。他にも、ユーザーテストのための顧客プールの獲得を目指し「サクラナビ」というInstagram メディアを開設しました。中学受験を経験した学生が届ける中学受験のメディアで、Instagramからアプリへのリーチも狙いつつ、メディアを通して中学受験をする親子が集まる場になってほしいと思っています。8月までにはフォロワー3,000人の目標を設定していて、今後事業を続けていく上で、法人化やオフィスなどを整備していきたいと思っています。
「サクラサクは、中学受験はこのアプリがあれば大丈夫だよね、という中学受験に特化したアプリを目指しています。教育コミュニケーションを世界へ、というのが我々の最終的なミッションです。」と中能は話しました。
実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。
Next1Dogs project https://youtu.be/EGgjh9Fpi24?feature=shared
voluntas https://youtu.be/0AyIUSdD1Do?feature=shared
DAJARE PRODUCTS https://youtu.be/P567bQyGBYI?feature=shared
LaMuse https://youtu.be/jCyE9CZlalU?feature=shared
Spring Creators https://youtu.be/liQvlppoAhc?feature=shared
次回の実験報告会は5月22日(木)に開催。ぜひご参加ください!
(撮影:鈴木 渉)
【こんな方にオススメ】
・100BANCHに興味がある
・GARAGE Programに応募したい
・直接プロジェクトメンバーと話してみたい
・研究やサイエンスコミュニケーションに興味がある
・アートやクリエイティブの領域に興味がある
【概要】
日程:5/22(木)
時間:19:00 – 21:30 (開場18:45)
会場:100BANCH 3F
参加費:無料(1ドリンク付き)
参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください
詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/69412/