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「幾何学的な折り紙」から、ワクワクする体験装置はつくれるのか!? 試行錯誤の3日間──ナナナナ祭2026を終えて

「Kizuki_0」プロジェクトでは、幾何学的な折り紙を使った作品をつくり、それに触り探索する中で、体験者の視点が広がるような「気づき」に出会える体験をつくることに取り組んでいます。GARAGE Programでは、実際に幾何学的な折り紙を触ってもらい、聞き取った感想や観察をもとに、「気づき」につなげられるような体験型の装置制作に挑んできました。

ナナナナ祭2026では、「触れて広がる、折り紙とかたちの『気づき』」と題し、体験型の装置の実現につながるような「遊べる作品プロトタイプ」を制作し、体験型の展示を行いました。その模様をKizuki_0の山﨑玲美が振り返ります。

はじめに

折り紙と聞くと、どのようなものを思い浮かべますか?

多くの人にとって一度は見たり触れたりしたことのある、身近な遊びなのではないでしょうか。Kizuki_0のブースでは、そんな折り紙の中でも、面白い動きや形の変化が見られるものをもとに、作品プロトタイプを制作し、来場者に実際に触ってもらいました。本レポートでは、3日間の展示の様子と、そこから生まれた「気づき」を振り返っていきます。

 

初日の展示の様子

この写真は、ナナナナ祭開始前のブースの様子です。幾何学的な折り紙(下の写真)の触った時の面白さを拡張した作品プロトタイプ2つ(「ミウラ折りい楽器」「折り紙から見る渋谷」)と、そのもととなる幾何学的な折り紙を展示しました。様々な「気づき」があふれている光景をナナナナ祭で生みだしたいと考え、体験後に「気づき」や「感想」をコメントカードに記入し背面のボードに貼ってもらうことで、様々な視点が重なることでブースが華やかになっていくような設計をしました。

幾何学的な折り紙。折り紙に一定の幾何学的なルールに従って折り線を配置していくと、軽く触れるだけで開閉したり変形するものを創ることができる。

 

作品プロトタイプ1:ミウラ折り楽器

ミウラ折りをパソコンの画面の前で開いたり閉じたりさせると、その動きに応じて音と映像が変化する楽器のような作品です。

ミウラ折り楽器を演奏する様子。プロジェクターで映像を投影することで、視覚的なにぎわいを生みだそうという試みを行った。

演奏に使う大きなミウラ折り

 

作品プロトタイプ2:折り紙から見る渋谷

Ron Reschパターンをもとに、わずかに青い透明なシートによりその形状を作成した作品です。のぞき込むことで、渋谷の風景がなんか暖かく感じるような体験を創出できるのではないかと考えました。

作品から実際に風景を覗く様子(ヤグラ企画にて)

作品とそのもとになった幾何学的な折り紙

出展を通じて、「作品プロトタイプに対する体験者の反応」を調べることで、幾何学折り紙を体験として応用することの可能性を探りたいと考えました。そこで、以下の点に着目して展示を行いました。

1.来場者はどのように作品を探索するのか

2.体験を通じてどのような気づきが生まれるのか

3.作品に対してどのような期待や可能性を感じるのか

 

より伝わる展示を目指して

ブースは、幾何学的な折り紙に触ってその存在を知る→作品を体験する→気づきを記入するといった構成にしていました。しかし初日は、幾何学折り紙で満足し作品を体験しなかった方や、展示の目的が伝わってない様子が多く見受けられました。また、触っていいのかわからなかった方や、何を目指しているのかわからないといった声を多くいただきました。そのため、途中でブース配置を変え、作品プロトタイプの体験を第一にし、興味持った人や説明用に幾何学折り紙を用いるといった構成にすること、ガイドや説明ボードの追加を行いました。2日目以降は「ミウラ折り楽器」「折り紙から見る渋谷」に関するコメントを書いてくださる方が増え、幾何学折り紙を知らなくても、直感的に楽しめる体験にもっていくことができたと実感しました。また、説明する際に、「折り紙」を入り口としてのキーワードにすることで、身近さを感じながらも、驚きや意外性につながり、より興味を持っていただける傾向が見られました。

 

来場者の声から見えてきたこと

体験後に気づきや感想等のコメントを書き、背面のボードに貼ってもらうことで、185件の回答をいただきました。様々な視点にあふれ、とてもためになる内容が多かったです。そのうち177件をもとに分析を行いました。

コメントの内容分析

すると以下の10のタイプが見えてきました。最も多かったのが、形状や感覚への驚き(80人、45%)で、「縮むときの感覚がとても心地良い!」「思わぬ方向に曲がっていくのがびっくり!!」「幾何学的な形がアーティスティックで素敵!!」といったコメントをいただきました。ミウラ折り楽器に関しては、「アコーディオンの様に動かすことで音色が変化していくのがおもしろかったです」のような音が出ることにたいして夢中になる人が多かったです。次に、「折り紙の可能性 無限大!!」のような折り紙自体の可能性に言及しているもの、「緩衝材になりそう!」「スゴイ! 光が綺麗に見える空間に住みたい(折り紙から見る渋谷に関して)」のような応用・展開可能性への想像に関するものがありました。ほかにも、「折り紙のサービス利用というのが耳に新しかった!」「ニッチな分野かとおもっていましたが、ほり下げ方がすばらしすぎる」のような目指している方向性において、勇気をもらえるコメントもいただけました。

コメントカードだけでなく、来場者に質問を行ったり、アドバイスをいただき、今後の指針となるような多くのご意見をいただくことができました。中には、協力してくださるという声もいただくこともできました。

全体的にお客さんが直感的に感動、面白がる、夢中になる様子を見ることができました。特にミウラ折り楽器に関しては、折り紙の触覚とインタラクションを組み合わせる方法は、多くの方に楽しんでいただけたのではないかと思います。

 

ヤグラ企画:巨大折り紙体験の様子

ヤグラ企画での巨大折り紙体験の様子

ヤグラ企画では、「折り紙から見る渋谷」を実際に外で体験するという企画を行いました。複数人で周囲を持って、引っ張ったり、中から風景をのぞき込む体験をしました。「万華鏡のよう」「なつかしい」「一瞬の世界を見ている感じ」といった声をいただきました。

 

「にぎわいの風景」は生まれたのか?

Kizuki_0プロジェクトでは、ブースに多くの人が訪れ、様々な気づきや感想が生まれ、それが立場を超えて交わっていくような風景を「にぎわいの風景」とよんでいます。ナナナナ祭では、感想コメントを背面のボードに貼ることで、「にぎわいの風景」をつくるという取り組みをおこないました。

にぎわうブースの様子

ナナナナ祭終了後のブースの様子

多くの方に来場いただき、終了後には、背面のボード一面に多様なコメントがあふれていました。「にぎわいの風景」は実現できたのではないかと思います。

 

これからに向けて

本展示にて、幾何学的な折り紙を、体験型作品として応用することの可能性を確かめることができました。一方で、今回はアイデアを形にすることを優先したプロトタイプであり、作品・展示・説明のいずれも十分な完成度には至りませんでした。しかし、その中でも来場者の反応を観察し、多くの改善点や今後の方向性を得ることができたことは、大きな成果であったと考えています。

今後は、装置製作と体験型展示イベントを継続的に実施し、作品や展示方法を改善しながら、「気づき」が生まれる体験を探究していきたいと考えています。新たな視点との出会いは、その場だけで終わるものではなく、日常の中でふと思い出したり、似たものに出会った際に新たな発見につながったりするものだと考えています。本展示で得られた「気づき」が、そのような視点の広がりへの第一歩となれば幸いです。

また、今回展示した2つの作品プロトタイプをはじめ、幾何学的な折り紙を活用した体験型作品を発展させ、さまざまなイベントで活用できる形へと展開していくことを目指しています。さらに、折り紙の科学・工学を「体験」として応用することで、人々の「楽しい」「ワクワクする」といった体験価値を生み出す新たな分野を切り拓いていきたいと考えています。そのために、素材・設計・ファブリケーションといった理工学分野と、展示、教育、芸術など人を中心とした分野をつなぐコラボレーションを生み出し、新たな体験の創出に挑戦していきたいと考えています。

 

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