• イベントレポート

「ものの履歴書」から考える、空き家との新しい向き合い方──ナナナナ祭2026を終えて

「ReFamily」は、空き家に眠るモノのつかい道から、空き家の未来を考えているプロジェクトです。「空き家に眠るモノが原因で、次の一歩を踏み出せない」という多くの声から、モノを通して空き家の新たな活用を考えています。
ナナナナ祭2026では、モノに残る記憶や暮らしの跡をたどっていく「ものの履歴書」の展示から、捨てる・放置するだけでない空き家のあり方を来場者の方と模索しました。その模様をReFamilyの竹中弥来が振り返ります。

ReFamilyの活動は、大好きなおばあちゃんの家が空き家になったことから始まりました。

それまでは私自身も、空き家問題を「管理が大変」「お金がかかる」といった建物そのものの問題だと思っていました。100BANCHに入居した2025年12月も、空き家の「建物」をどう活用するかを考えていました。

しかし、実際に空き家と向き合い、多くの所有者の方と対話を重ねる中で見えてきたのは、最初に悩んでいるのは「家をどうするか」ではなく、そこに残されたものや思い出をどうするかということでした。

 

これからどうすればいいか分からない

2025年12月に100BANCHへ採択されてから、ナナナナ祭の面談があった4月までの約4ヶ月間。正直に言うと、「何も成果を出せていない」「これからどう進めていけばいいんだろう」と迷い続けていました。だからこそ、展示の話をいただいたときも、「私には無理だ」と思いました。何を展示すればいいのか。何を伝えたいのか。ReFamilyだからこそできることは何なのか。その答えが全く見えないまま、面談を迎えました。

そして、何も伝えられなかった面談は、とても悔しかったです。

 

ReFamilyだからこそ伝えられること

面談のあと、「ReFamilyだからこそ伝えられることは何だろう。」と自分に問い続けました。そのとき思い浮かんだのは、家族や空き家所有者の方との対話でした。

家族も、そして多くの空き家所有者の方々も、最初に悩んでいたのは「空き家そのもの」ではなく、「空き家に眠るもの」。この課題こそ、私たちが向き合うべきテーマなのだと気づきました。それからは、「今の自分にできること」を考えては動く毎日でした。

 

どうすればいいかわからないが再びやってきた

空白の4ヶ月をなんとか埋めなければ。そんな焦りから、とにかく動き続けた期間でもありました。それに加えて、ナナナナ祭の展示づくりは思うように進まず、心も体もいっぱいいっぱいになることが何度もありました。

開催まであと1週間というタイミングでは、「私はこの展示で何を伝えたいんだろう」とわからなくなってしまいました。とにかくその時にはどんなブースにするかも、何をするのかも、何を伝えるのかも、全くわからなくなりました。

それでも、一つだけ最後まで揺らがなかったものがあります。それは、「空き家に眠るモノ」というテーマです。空き家所有者の方々との対話を通して見えてきたこの課題だけは、絶対に伝えたい。その想いを軸に、一つひとつ展示を形にしていきました。

 

「ものの履歴書」から考える、空き家の悩みと可能性

そうして生まれたのが、今回の展示です。「ものを入り口にすることで、空き家所有者が抱える悩みをより身近に伝えられるのではないか」という仮説のもと、「ものの履歴書から考える、空き家の悩みと可能性」をテーマに展示をしました。

来場者の方には、履歴書を読みながら、「このものはどんな時間を過ごしてきたのだろう」「自分なら次にどんな人へつなげたいだろう」と考え、新しい使い道を書いていただきました。

実際にブースでは、「空き家問題と聞くと建物のことばかり考えていました」「ものが原因で動き出せない人がいることを初めて知りました」「実家にも同じようなものがあります」そんな声をたくさんいただきました。展示に込めたい想いに涙を流す方もいて、ものの背景を知ると見え方が大きく変わることを、私自身も改めて実感しました。

空き家をどう活用するかではなく、その前に「なぜ動き出せないのか」を知ってもらう。この展示をきっかけに、「空き家にもこんな悩みがあるんだ」と知ってくださる方や、「空き家のことを一緒に考えてほしい」と相談してくださる方にも出会うことができました。

また、空き家のことで悩んでいる方や、自分が選んだ選択にモヤモヤを抱えていた方から、「話をして気持ちが晴れました」と言っていただくこともありました。誰かにとって本音で想いを伝えられる場になれたことが、私にとって今回の展示で一番嬉しかったことです。

 

「空き家、どうしよう」と思ったときに、ReFamilyを思い出してもらえるように

ReFamilyは、空き家で悩んでいる方が、自分らしく納得できる選択肢を見つけ、一歩を踏み出せるよう寄り添っています。一人ひとりに寄り添い、その小さな一歩を積み重ねていくことが、空き家が増え続ける社会に新たな可能性を生み出すと信じています。

これからは、空き家所有者だけでなく、終活を考えている方やそのご家族、自治体、地域で活動する方々、学生・若者など、多様な人たちとともに、空き家を「そのままにしておく」のではなく、新たな一歩を踏み出せる循環を育んでいきたいと考えています。

もし空き家のことで悩んでいる方や、ご家族・ご友人など身近に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。一緒にお話ししながら、その方にとって納得できる一歩を考えていけたら嬉しいです。

 

  1. TOP
  2. MAGAZINE
  3. 「ものの履歴書」から考える、空き家との新しい向き合い方──ナナナナ祭2026を終えて

100BANCH
で挑戦したい人へ

次の100年をつくる、百のプロジェクトを募集します。

これからの100年をつくるU35の若きリーダーのプロジェクトとその社会実験を推進するアクセラレーションプログラムが、GARAGE Programです。月に一度の審査会で採択されたチームは、プロジェクトスペースやイベントスペースを無償で利用可能。各分野のトップランナーたちと共に新たな価値の創造に挑戦してみませんか?

GARAGE Program
GARAGE Program エントリー受付中

10月入居の募集期間

7/28 Tue - 8/31 Mon

100BANCHを応援したい人へ

100BANCHでは同時多発的に様々なプロジェクトがうごめき、未来を模索し、実験を行っています。そんな野心的な若者たちとつながり、応援することで、100年先の未来を一緒につくっていきましょう。

応援方法・関わり方