
リアル詐欺シミュレーション!君はAIおばあちゃんを騙せるか?
ToI Nexusは、世界から詐欺をなくすことを目指すプロジェクトです。現在は、社会問題となっている高齢者の「特殊詐欺被害問題」を解決するプロダクトを開発しています。
ナナナナ祭2025では、「AIおばあちゃん」と詐欺検知システム「詐欺止め太郎」を用いたリアルな詐欺シミュレーションを来場者の方に体験してもらい、詐欺の危険性とその対策の重要性を考えました。その模様を、ToI Nexusの尾島がレポートします。
2025年ナナナナ祭で、ToI Nexusは体験型イベントを実施しました。その名も「詐欺師体験 -君はAIおばあちゃんをダマせるか-」。参加者が「詐欺師」の視点を通じて詐欺の手口や被害者心理を学ぶことで、詐欺の怖さと対策の必要性をリアルに感じてもらうことが目的です。
イベントでは、対話式AIを活用した本格的な詐欺シミュレーションを提供しました。参加者はAIが演じるリアルな高齢者との対話を通じ、「焦り度」「信頼度」などの心理指標をリアルタイムで可視化しながら、詐欺被害を身をもって体験しました。また、現在開発を進めているAIによる詐欺検知デバイス「詐欺止め太郎」との対決セッションも行われ、詐欺対策の重要性を実感していただきました。
さらに、ブースへの誘導策として、「PayPayフィッシング詐欺」を模した客引きを実施しました。この仕掛けは、「QRコードを読み取りアンケートに答えるとPayPay500円がもらえる」と謳いながら、実際には逆にPayPay 50000円分を送金してしまうという詐欺の手法を再現したものです。多くの方がそのリアルさに驚き、詐欺の怖さを再認識しました。
詐欺の怖さを知るには、騙される体験を。
詐欺の仕組みを知るには、騙す体験を。
詐欺は、知識だけでは防ぎきれない厄介な犯罪です。特に、実際に被害に遭ったことがない人にとっては、そのリアルな危険性を想像するのが難しいのが現実です。
そこで私たちは、「騙される側」ではなく「あえて騙す側」、つまり“詐欺師の視点”を体験してもらうことで、詐欺がどのように仕掛けられ、どのような心理に付け入ってくるのかを、より深く理解していただこうと考えました。
実は、この企画を立ち上げたToI Nexus代表・西谷自身も、過去に詐欺被害を受けた経験があります。その実体験から、「詐欺に遭った経験があるかどうかが、詐欺に対する認識を大きく変える」そして、「詐欺の構造を理解しなければ本当の対策にはならない」と痛感し、今回のような体験型プログラムの実施に至りました。
イベントの反響は大きく、多くの方から「PayPay詐欺は怖かった!」「完成度が高くて本当に騙されそうになった」という好評の声をいただきました。一方で、実際に騙されすぎてしまう方もおり、詐欺被害のリアルさを再認識する場面もありました。
さらに、プログラム実施から得た重要な気づきとして、本当に騙された人はネタバラシ画面まで辿り着かないこと、またアンケート回答にはお菓子などのインセンティブを設けることで回答率が向上し、参加者の心理的負担も軽減できることがわかりました。
イベントで最も検証したかったのは、「詐欺止め太郎」のウェイティングリストを100人分作ること。その結果、多くの参加者に関心を持ってもらい、ウェイティングリストへの登録が進みました。
今後は、この体験をきっかけに実証実験を行い、「詐欺止め太郎」の事業化を進めていく予定です。また、自治体や警察機関、特に特殊詐欺対策に積極的な兵庫県警などと連携を深め、社会的な取り組みへと発展させていきます。
ToI Nexusは、体験型イベントを通じて詐欺被害ゼロを目指し、これからも新たな挑戦を続けてまいります。
※このワークショップは詐欺撲滅を目的とした教育的な取り組みです。実際の犯罪行為を推奨するものではありません。